ニュースリリース

2017年11月13日

「レベル2自動運転・実車試験」結果を発表
メルセデス・ベンツのEクラスが最高得点を獲得
自動車線維持機能のランキング評価は業界初

 日経BP社(本社:東京、社長:新実 傑)の自動車専門誌『日経Automotive』は、「レベル2自動運転・実車試験」の結果を発表しました。同試験は、レベル2の自動運転機能を搭載した日本向け車種の中から、最新の6車種を選んで実施したもの。その最大の特徴は、レベル2の自動運転でカギを握る自動車線維持機能が、さまざまな環境下でどのくらい継続可能かを試験し、その対応力を分析した点です。自動車線維持機能の実車試験によるランキング評価は、業界初の試みです。結果の詳細は日経Automotive 2017年12月号(2017年11月11日発行)に掲載しています。

 総合点(満点110点)では、ドイツDaimler社「メルセデス・ベンツ」ブランドの「Eクラス」が最高得点(99点)を記録し、スウェーデンVolvo社の「V90」(95点)、SUBARU(スバル)の「レヴォーグ」(89点)がそれに続きました。4位以下は、ドイツBMW社の「5シリーズ」(77点)、日産自動車の「エクストレイル」(54点)、ドイツAudi社の「A5」(18点)の順でした。A5は、渋滞アシスト機能が作動する渋滞時を除くと約65km/h以上が自動車線維持機能の作動の条件になっています。今回選定した公道での試験コースが多くの区間で制限速度が60km/hに設定されていることが大きく影響しました。

 総合評価は、総合点で80点以上を“★★★(三つ星)”、同60点以上を“★★(二つ星)”、同60点未満を“★(一つ星)”としています。★★★がEクラス、V90、レヴォーグ、★★が5シリーズ、★がエクストレイルとA5という結果でした。

 総合点は、首都高速道路の一部区間を試験コースとした公道試験と、降雨や逆光を模擬可能な試験場を使っての特異環境試験のそれぞれの結果に基づいて算出しています。公道試験では、それぞれの試験車両を昼2回、夜1回ずつ所定のコースを走らせ、自動車線維持機能の平均作動率、および同機能の継続が難しそうな地点として同コースから選んだチェックポイント(18カ所)における成功率を求めました。一方、特異環境試験では、降雨は降雨量を3段階に切り替え、逆光は照度を2段階に切り替えて評価しました。

評価 社名 車種名 総合点(110点満点) 平均作動率 チェックポイントにおける成功率 特異環境試験での獲得ポイント
★★★ Daimler社 Eクラス 99 95% 83% 10ポイント
Volvo社 V90 95 95% 74% 10ポイント
SUBARU レヴォーグ 89 93% 80% 3ポイント
★★ BMW社 5シリーズ 77 91% 54% 5ポイント
日産自動車 エクストレイル 54 70% 39% ――
Audi社 A5 18 36% 0% ――

急カーブや区画線の多様性が結果を左右

 総合評価で★★★を獲得したEクラス、V90、レヴォーグは、いずれも、公道試験における自動車線維持機能の平均作動率とチェックポイントでの成功率で優れた成績を残しました。特異環境試験でも、レヴォーグを除き、最高獲得ポイントである10ポイントを獲得しています。

 一方、総合評価で★★の5シリーズは、同平均作動率では上位3車種に迫る成績を収めました。しかし、同成功率では大きく溝を開けられました。特異環境試験では、レヴォーグの獲得ポイントを超えましたが5ポイントに留まりました。

 そして、この5シリーズと上位3車種の差を主に決定づけたと見られるのが、「多様な区画線」「曲率半径(R)200m以上R300m未満の急カーブ」への対応力の差です。ちなみに、上位3車種の間では「R200m未満の急カーブ」「区画線のかすれ・消失(導流レーンマーク以外)」、および特異環境試験での「逆光」への対応力の差が、結果に大きく影響を及ぼしたと見られます。

 実は、公道試験の試験コースとして選定した首都高の一部区間には、R300m未満の急カーブが12カ所存在します。さらに、導流帯(俗にゼブラゾーンと呼ばれる区画線)や導流レーンマーク(道幅を狭く見せ減速を促すために、車道外側線や車線境界線の内側に添うように描かれた太い破線状の白い区画線)、分岐・合流を示す破線状の白く太い区画線といった多様な形式の区画線が多数存在しています。しかも、これらの多様な区画線が、車道外側線や車線境界線といった基本的な区画線と組み合わさって2重、3重の線を構成したり、区画線がひどくかすれていたり消失していたりするところもあります。今回の公道試験でチェックポイントとして選んだのは、そうした地点です。

 総合評価で★だったエクストレイルとA5は、チェックポイントでの成功率だけでなく平均作動率でも上位4車種から大きく差を付けられました。最大の要因は、エクストレイルの場合は、車線変更などで自動車線維持機能がいったん切れてから復帰するまでに時間を要すること、A5の場合は自動車線維持機能が渋滞時以外は約65km/h以上でなければ作動しない仕様になっていることと見られます。特異環境試験に関しては、「車速30km/h、先行車なし」という今回の試験条件では、両車種ともに自動車線維持機能が起動しない仕様となっており、ポイントの獲得に至りませんでした。先行車が存在しない場合、エクストレイルでは50km/h以上、A5では約65km/h以上が自動車線維持機能の作動の条件になっています。

■試験の方法

①公道試験

 公道試験では、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と自動車線維持の両機能を同時に作動させ、自動車線維持機能がどのくらい継続可能かを調べました。前述の試験コースを試験車両ごとに昼2回、夜1回の合計3回走行させ、走行時間、自動車線維持機能の有効時間、18カ所のチェックポイントにおける成否を確認しました。ACCの上限車速は、走行コースの制限速度に設定しました。自動車線維持機能が継続しているかどうかの判断には、試験車両の計器パネルの表示を使いました。

試験期間: 2017年9月25〜27、30日
記録・計測機器: 小野測器製GPS速度計「LC-8300」(位置・車速・加速度計)、ストップウオッチ、ビデオカメラ
試験場所: 首都高速道路の一部区間〔首都高川口線(S1)の川口パーキングエリア(PA)を起点とし、首都高5号池袋線(5号線)の戸田南出口の先にある東京外環自動車道(外環道)への分岐点までの約28kmのコース〕
協力: 小野測器
②特異環境試験

 特異環境試験では、トンネル状になった200mの直線路を使用しました。先行車なしの状態で、同直線路の一端をスタート地点として20m地点までに試験車両の車速を30km/hまで加速。同時に、あるタイミングでACC機能と自動車線維持機能を作動させ、その後は車速30km/hを維持して走行し、直線路の他端の手前20mの地点まで自動車線維持機能を継続できるかどうかで成否を判断しました。降雨の試験では、直線路の中間地点から先を雨とし、逆光の試験では、中間地点に向けて日本の春秋の晴天時(15〜17時)の日光に相当する光を照射しました。試験条件は、降雨では降雨量80mm/h(非常に激しい雨)、50mm/h(激しい雨)、30mm/h(強い雨)の3段階、逆光では照度2万5000lx、3万5000lxの2段階としております。

試験期間: 2017年9月29日
記録・計測機器: ビデオカメラ
試験場所: 日本自動車研究所(JARI)の特異環境試験場

※今回実施した試験は、あくまでも本誌が指定した条件で、自動車線維持機能の継続性を調べたもので、同機能の日常利用での性能を保証するものではありません。また、車両の速度、天候状況、道路状況など条件によっては、同機能は作動しない場合があります。レベル2の自動運転機能は運転者による運転操作を支援するためのものであり、安全に対する責任は全て運転者にあります。

【日経Automotiveについて】

 「日経Automotive」は、自動車技術者のための月刊誌です。技術情報を核にしながら、ITやカーエレクトロニクスとの融合、さらにはマーケティングや市場情報をお伝えして、自動車産業に携わる方の迅速な意志決定を支援します。http://techon.nikkeibp.co.jp/AT/magazine/

【本リリースのお問い合わせ先】

 このリリースに関するお問い合わせは、日経テクノロジーオンライン編集自動車G(電話03-6811-8131)に、取材のお申し込みは、日経BP社経営企画室・広報(電話03-6811-8556)にお願いいたします。

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