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2004年3月12日
2004年「日経BP技術賞」決定
日経BP社主催の2004年(第14回)の「日経BP賞」がこのほど決まりました。 本賞は日経BP社がわが国の技術の発展に寄与する目的で創設したものです。 今回は2003年に開発された技術の中から、審査委員会(委員長:田中昭二国際超電導産業技術研究センター副理事長)が、以下の大賞と部門賞を選出しました。 大賞は、小泉英明日立製作所研究開発本部技師長らの「光トポグラフィーを利用した、脳の活動状態を測定する手法の開発と研究」と、最上明矩日本電子開発本部専任副理事らの「質量エネルギー密度を従来技術の10倍に高めた電気2重層キャパシタ『ナノゲート・キャパシタ』」の2件に決まりました。 このほか、14件の部門賞を決めました。
〈大賞〉
赤血球が酸素と結合しているか否かで変化する近赤外線の反射スペクトルの計測によって、脳の活性部位を特定する手法。頭部に固定できる小型装置のため、日常生活の様々な場面における脳の活動状態を測定することが可能となった。 ▼質量エネルギー密度を従来技術の10倍に高めた電気2重層キャパシタ 「ナノゲート・キャパシタ」
材料や焼成手法の工夫により、電気2重層キャパシタの質量エネルギー密度を88Wh/gと、既存品の10倍に高めた。これにより、これまで、極めて限定的な用途にしか利用できなかった電気2重層キャパシタの応用範囲が拡大する可能性が出てきた。 〈部門賞〉 ◇電子部門 ▼五段昇圧時の変換効率が95%と高いチャージ・ポンプ型DC-DCコンバータ技術
回路設計やトランジスタの工夫によって、チャージ・ポンプ型電源回路(DC-DCコンバータ)の五段昇圧時の変換効率(入力電圧に対する出力電圧の比)を95%に高めた。電源回路の小型化に貢献した。多機能化のための設計空間創出に寄与する。 ▼データ記録速度が200Mビット/秒を超える相変化光ディスク技術
SARCと呼ぶ記録膜の急冷構造とTb-Sb-Te-Ge系の熱的に安定な記録材料を組み合わせ、相変化光ディスクで216Mビット/秒という記録速度を実現。相変化記録は光磁気記録系に比べ速度的に劣るというが、それを打ち破り、光ディスクに新たな世界を拓いた。 ◇情報通信部門 ▼Windowsネットワーク解析ソフト「VISUACT」
ネットワーク上でWindowsマシン間の通信データを捉え、内容やシーケンスなどを解析することで、個々のユーザーの処理内容を時系列にトラッキングする技術。セキュリティー上、ネットワーク上の処理連携の履歴を手軽に収集・管理できる点で意義深い。 ▼DDos攻撃からネットを守るMovingFirewall
DDos攻撃に対応して、対処プログラムが動的に分散することで、従来技術とは異なりネットワーク全体を守ることを実現した。インターネット上で様々なビジネスを安心して展開するための基盤技術になる可能性がある。 ◇コンシューマーIT部門 ▼コンパクトデジカメのズームレンズ格納技術「スライディング・レンズ・システム」
デジタルカメラの光学ズームレンズ機構を2ブロックに分割し、電源オフ時に中央のレンズブロックがスライドして上がり、レンズ機構を上下2段に収納する。その結果、光学3倍ズームレンズを搭載しながら、薄さ2cmのデジカメを実現した。 ▼「ThinkPad」に採用したハードディスク・アクティブ・プロテクション・システム
パソコンの姿勢を検知し、落下など筐(きょう)体に衝撃を受ける予兆があった場合にヘッドを退避させることで、ハードディスクのクラッシュ予防を実現した。20万円前後の普及価格帯機種に搭載できた点で、モバイルパソコン市場拡大の貢献にもつながる。 ◇機械システム部門 ▼蒸気爆発を利用したアモルファス材料の製造
従来は、火山の噴火や火災など災害に絡む現象として捉えられ、難しいとされていた蒸気爆発が起こるかどうかの判定基準作りに成功。この結果を生かして、アモルファス金属を安く大量に供給することにつなげた。 ▼用途に合わせて内容を調整できるCADデータ交換技術
独自の三次元データ形式をデータ交換の仲立ちに用いることで、異なった三次元CAD間で情報欠落の少ないデータ交換を実現した。さらに、データの用途に応じた編集や加工も可能にした。 ◇建設部門 ▼光触媒舗装による環境改善技術の実用化
道路舗装の表面に光触媒の層をつくる技術を実用化した。これにより、自動車の排気ガス中の窒素酸化物を、人体への害が少ない物質に化学変化させことができる。光触媒技術が積極的に環境を改善するための用途にまで拡大しつつある中で、その先駆的な事例といえる。 ▼都市計画・建設技術の総合化による六本木ヒルズの開発
国内最大級の市街地再開発を都市計画・建築計画・建設技術の総合化によって実現し、都市再開発の1つのモデルを提示した。六本木地区ににぎわいをつくりだした話題性も評価された。 ◇医療・バイオ部門 ▼国産ヒトES細胞株の樹立に成功、供給体制を確立
霊長類ではまだ一般的な技術ではない胚性幹細胞株(ES細胞株)の樹立に、日本で初めて成功した。これまで海外からの輸入に頼っていたES細胞研究が、国内での社会的同意のもとに推進するメドがついたという意義は大きい。 ▼シラスウナギの人工生産技術
人工的環境下でレプトケファルス幼生をシラスウナギに変態させることに、世界で初めて成功。人工生産されたシラスウナギが養殖用種苗になり得ることを示した。また、これまで生態がよく分かっていなかったウナギの研究に弾みがついた。 ◇エコロジー部門 ▼耐熱性、耐衝撃性などを高めた電子機器向けケナフ強化ポリ乳酸
トウモロコシなど植物を原料とするプラスチック・ポリ乳酸をケナフ繊維で強化した材料。熱変形温度も67℃から120℃に向上し、ノートパソコン向け材料として十分な機械的物性を備えた。循環型社会構築に向けての象徴的な一歩となった。 ▼蛍光灯を無電極にして長寿命化する技術
電極を不要にして寿命を従来の電球型蛍光灯の四〜五倍に当たる三万時間に延ばした蛍光灯。電力のロスも削減した。長寿命化で資源効率の向上、廃棄物削減効果が得られる。 【審査委員】(敬称略、五十音順) 審査委員長
審査委員
日経BP社広報部
日経BP技術賞に関するお問い合わせは、「日経BP技術賞」事務局・先端技術情報センター内 電話:03-5210-8175にお願いいたします。
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