日経BP社のニュースリリース

 

2007年3月16日


2007年「日経BP技術賞」決定
大賞に「プログラミング言語 Ruby 」


 日経BP社主催の2007年(第17回)の「日経BP技術賞」がこのほど決まりました。

 本賞は日経BP社がわが国の技術の発展に寄与する目的で創設したものです。毎年1回、電子・情報家電、情報通信、機械システム、建設、医療・バイオ、エコロジーの各分野で、産業や社会に大きなインパクトをもたらす優れた技術を表彰します。

 今回は2006年中に開発された技術の中から、審査委員会(委員長:田中昭二国際超電導産業技術研究センター副理事長)が、以下の大賞と部門賞、特別賞を選出しました。

 本賞は日経BP社がわが国の技術の発展に寄与する目的で創設したものです。毎年1回、電子・情報家電、情報通信、機械システム、建設、医療・バイオ、エコロジーの各分野で、産業や社会に大きなインパクトをもたらす優れた技術を表彰します。  今回は2006年に注目された技術の中から、審査委員会(委員長・田中昭二国際超電導産業技術研究センター副理事長)が、以下の大賞と部門賞を選出しました。
 大賞は、まつもとゆきひろ氏の「 プログラミング言語 Ruby 」に決まりました。このほか11件の部門賞を決めました。

 表彰式は4月6日午前11時から東京・虎ノ門のホテルオークラ東京で行います。


〈大賞〉

▲プログラミング言語「 Ruby 」

 まつもと ゆきひろ 株式会社ネットワーク応用通信研究所 基盤研究グループ 特別研究員

 1993年に開発したオープンソースのスクリプト言語。オブジェクト指向型で、「Java」と比べてコーディングが容易で、生産性が高いといわれている。2005年正式リリースの高生産性ウェブ・アプリケーション・フレームワーク「Ruby on Rails」により、ウェブ上の商用サービスや業務システム、自治体公式サイトなどビジネスでの利用も広がった。「 Ruby 」で記述したアプリケーションや、ライブラリー開発プロジェクトは千数百にも上り、これまでウェブ・プログラミングで用いられてきた「Perl」や「PHP」にとって代わる勢いがある。日本生まれのソフトウエアで、海外の著名プログラマーからも評価が高い。

〈部門賞〉

◇電子・情報家電部門


▲青色半導体レーザーと光ファイバーを利用した白色光源
 山嵜 正明 株式会社住田光学ガラス 研究開発本部 素材開発部 主幹技師
 高久 英明 株式会社住田光学ガラス 研究開発本部 素材開発部 主任技師
 石井 修 株式会社住田光学ガラス 研究開発本部 素材開発部 主任技師
 目黒 友美 株式会社住田光学ガラス 研究開発本部 素材開発部
 大竹 伸彦 株式会社住田光学ガラス 研究開発本部 素材開発部
 永浜の旧字 忍 株式会社住田光学ガラス 研究開発本部 取締役研究開発本部長

 青色半導体レーザーと、波長変換材料を含んだ光ファイバーを組み合わせた白色光源。光ファイバーによって青色光を緑色光と赤色光に変換し、ファイバー内でレーザー発振させている。これらの緑色光と赤色光を、光源からの青色光と混色し、白色にする。背面投射型プロジェクターなどの光源として利用すれば、色再現範囲をCRTモニターの約2倍に広げることができる。

▲Siウエハー上に異種薄膜を常温接合する技術「EFB」の実用化
 荻原 光彦 沖電気工業株式会社 沖デジタルイメージング社 開発部 部長
 藤原 博之 沖電気工業株式会社 沖デジタルイメージング社 開発部 開発チーム
 小泉 真澄 沖電気工業株式会社 沖デジタルイメージング社 技術第2部 部長

 Siウエハーなどの基板上に異種薄膜を常温接合する技術「EFB(Epi Film Bonding)」を実用化した。まずは、化合物半導体などのエピタキシャル成長層を別に製造し、剥離(はくり)する。剥離した薄膜層を、Siウエハーなどの上に張り付けることで、既存のLSI(大規模集積回路)などと一体化できる。ワイヤ・ボンディングが不要となるため、チップ面積やコスト削減の効果が期待できる。この技術を使い、LED(発光ダイオード)アレイとドライバーLSIを一体化したLEDプリンター・ヘッドを量産化した。

◇情報通信部門

▲「UHF帯電子タグの製造技術及び実装技術の開発」(響プロジェクト)によって開発されたICタグ
 中島 洋株式会社日立製作所 情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部 副事業部長
 志村 勲株式会社ルネサステクノロジ 汎用製品統括本部 汎用デバイス事業部 事業部長
 鈴鹿 和男 八木アンテナ株式会社 取締役社長

 「響タグ(ICタグ)」は、ICチップとアンテナを組み合わせて作る、ICタグの中核部品(インレット)で、安く大量に製造することを目的にした経済産業省の研究開発委託事業「響プロジェクト(通称)」で開発された。UHF(極超短波)帯を用い、数メートル離れたところにあるICタグのデータを読み取ることができる。月産一億個製造するなどの条件付きながら、インレット当たり約5円という価格を実現した。

◇機械システム部門

▲ディーゼルエンジン用NOx吸蔵還元触媒
 大野 弘志 株式会社本田技術研究所 第2技術開発室 第1ブロック 主任研究員
 神田 智博 株式会社本田技術研究所 第3技術開発室 第4ブロック 主任研究員
 佐藤 尚宏 株式会社本田技術研究所 第2技術開発室 第1ブロック 研究員

  ディーゼルエンジンの排ガスをガソリン車と同等レベルまで浄化することを求める、米国排ガス規制「Tier・ Bin5」を達成(社内測定値)したNOx(窒素酸化物)吸蔵還元触媒。開発中の新世代ディーゼルエンジンに搭載する。触媒内部でアンモニアを生成し、このアンモニアによる還元反応でNOxを窒素に変換する。新開発の触媒はアンモニアを自ら作り出し、排ガス中のNOxを吸着してアンモニアに転化する層と、触媒内で生成したアンモニアを吸着して排ガス中のNOxを窒素に還元する層の二層構造となっている。

▲小型・高出力のファイバーディスクレーザー
 菅  博文 浜松ホトニクス株式会社 中央研究所 主幹
 宮島 博文 浜松ホトニクス株式会社 中央研究所 主任部員
 関口 宏 浜松ホトニクス株式会社 レーザーグループ 主任部員
 伊東 勝久 浜松ホトニクス株式会社 レーザーグループ 専任部員
 植田 憲一 電気通信大学 レーザー新世代研究センター センター長 教授
 三津間 希 エンシュウ株式会社 光関連事業部 主幹 加工チームリーダー

 従来のファイバー・レーザーは、励起光である半導体レーザーを光ファイバーの端面に集光することが難しく、高出力化に限界があった。新たに開発した「ファイバーディスクレーザー」は、光ファイバーを何重にも巻いてディスク状にし、励起光を光ファイバー端面ではなく、側面から入射する方式を開発することで、大量の励起光を入射でき、高出力化を可能とした。

◇建設部門

▲地震の発生を知らせる緊急地震速報システムの開発と運用
 斎藤 誠 気象庁 地震火山部管理課 即時地震情報調整官
 堀内 茂木 独立行政法人防災科学技術研究所 総括主任研究員
 芦谷 公稔 財団法人鉄道総合技術研究所 防災技術研究部 地震防災研究室長

 気象庁が2006年8月1日に開始した、地震の発生を知らせる「緊急地震速報」システム。気象庁と鉄道総合技術研究所が共同開発した「B-Δ法」に加え、防災科学技術研究所が開発した「着未着法」などの手法も取り入れ、震源近くの地震計で地震の初期微動をとらえ、震源や地震の規模、各地の震度を推定し、強い揺れ(地震の発生)を数秒から数十秒前に知らせる。今回の技術によって初めて、広く社会で活用できるシステムとして整備、運用を開始した。

▲デュアルシールド工法の開発
 田村 春男株式会社福田組 代表取締役副社長
 西山 陽一郎 株式会社福田組 土木事業本部 常務執行役員 土木事業本部長
 鶴木 勇夫株式会社福田組 土木事業本部 理事 土木本部 技術顧問
 石塚 千司株式会社福田組 土木事業本部 土木本部技術部 シールド・推進グループ長
 中村 浩株式会社福田組 土木事業本部 土木本部技術部 シールド・推進グループ 次長
 斎藤 文雄株式会社福田組 土木事業本部 土木本部技術部 シールド・推進グループ 課長

 たて坑から管を地中に押し出してトンネルをつくる「推進工法」と、シールド機で掘進しながらセグメントを組み立てる「シールド工法」を融合した工法。東京都下水道局が谷川(やがわ)雨水幹線の工事で採用した。たて坑から推進工法で掘り始め、途中でシールド工法に切り替える。推進工法はコストが安い半面、急曲線への対応が難しいという特性がある。そこで直線の区間は推進工法で、カーブがある区間はシールド工法でそれぞれ掘削することによって、全体の施工費を下げることができた。

◇医療・バイオ部門

▲マウス体細胞の初期化技術
 山中 伸弥 京都大学 再生医科学研究所 教授
 高橋 和利 京都大学 再生医科学研究所 特任助手

 マウスの胎児と成体の線維芽細胞に四遺伝子を導入し、増殖能や多分化能を持った細胞を誘導する「初期化」に成功し、iPS細胞(induced Pluripotent Stem Cell)と命名した。これまで、体細胞を初期化する方法として知られているのは、「未受精卵に体細胞の核を移植する方法」と「ES細胞と体細胞を融合する方法」しかない。特定の因子を与えることで体細胞を初期化することに成功した報告は初めてである。

▲糖鎖遺伝子ライブラリー
 成松 久 独立行政法人産業技術総合研究所 糖鎖医工学研究センター センター長

 たんぱく質に糖鎖を付加する糖転移酵素について、170以上の遺伝子ライブラリーを構築。同グループで開発した自動合成ロボット「糖鎖構造解析システム」と組み合わせ、糖鎖技術の応用を図るプロジェクトを2006年度から立ち上げた。ゲノム情報から糖転移酵素“らしさ”を抽出するアルゴリズムを開発し、候補遺伝子を探し出してクローニングし、機能を解析してライブラリーに追加した。追加した39の遺伝子については、新たに特許を取得した。

◇エコロジー部門

▲国内最大の2400kW大型風力発電設備における大型化・高効率化技術
 柴田 昌明 三菱重工業株式会社 長崎造船所 風力発電事業ユニット 技術開発課 課長
 三宅 寿生 三菱重工業株式会社 長崎造船所 風力発電事業ユニット 技術開発課 主任
 有永 真司 三菱重工業株式会社 長崎研究所 制御システム研究室 主席研究員
 黒岩 隆夫 三菱重工業株式会社 長崎研究所 強度研究室 主席研究員
 一瀬 秀和 三菱重工業株式会社 長崎造船所 プラント技術部 計装電気課 主任

 出力2400kWの大型風車は、ローター直径92メートル、タワー高さ70メートル。低風速でも効率的に発電できる一方、風速70メートルという猛烈な台風や落雷にも耐えられる。同クラスで、ブレード長が最長の44.7メートルのものを独自開発したことで、毎秒8.5メートルの低風速域でも高効率な発電ができる。強風時は、稼働を停止し、ナセル(タワー頂上部の発電機、増速機などを格納した部分)を風向きによって制御して風を受け流す「スマート・ヨー」技術を初めて採用した。2006年11月には、米国から43基の初受注に成功した。

▲ヒートポンプ式洗濯乾燥機を実現させた超小型ヒートポンプユニット
 河合 哲夫松下電器産業株式会社 ランドリービジネスユニット 洗濯機技術グループ 主任技師
 朝見 直松下電器産業株式会社 ランドリービジネスユニット 洗濯機技術グループ 主任技師
 田原 己紀夫松下電器産業株式会社 松下ホームアプライアンス社 技術本部 電化住設 研究所 商品開発第1グループ 主任技師
 西畠 秀男松下電器産業株式会社 松下ホームアプライアンス社 技術本部 冷熱空調研究所 商品開発第2グループ 主任技師
 栗本 充松下電器産業株式会社 エアコンデバイスビジネスユニット コンプレッサーエンジニアリンググループ 主任技師
 田中 優行松下冷機株式会社 冷機デバイスビジネスユニット エンジニアリンググループ 主任技師

 「ななめドラム洗濯乾燥機・NA-VR1000」(2005年11月末発売)は、乾燥装置の加熱方式に、従来の電熱線式ヒーターではなく、世界で始めてヒートポンプを採用した。・冷媒(代替フロンのR134a)圧縮側(高温側)で65度の温風を作って洗濯物を乾燥 ・湿った空気は冷媒拡張側(冷却部)で冷やして除湿・乾燥する ・除湿・乾燥した空気を再び圧縮側で温風に換える――というサイクルを繰り返す。ヒートポンプユニットをコンパクトにするため、熱交換器を小型化する一方で、空気を送り込むファンを大型化して熱交換効率を維持した。従来のヒーター式洗濯乾燥機に比べ、水と電気の使用量を半減した。



【審査委員】(敬称略)

審査委員長
 田中 昭二  国際超電導産業技術研究センター副理事長

審査委員
 大石 道夫  かずさディー・エヌ・エー研究所所長
 岡田 恒男  東京大学名誉教授
 川島 一彦  東京工業大学大学院理工学研究科教授
 木村 文彦  東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻教授
 小林 繁夫  東京大学名誉教授
 後藤 滋樹  早稲田大学理工学部情報学科教授
 櫻井 靖久  東京女子医科大学名誉教授
 鈴木 基之  放送大学教授
 谷本 勝利  埼玉大学工学部建設工学科教授
 中川 正雄  慶應義塾大学理工学部情報工学科教授
 永井 良三  東京大学医学部附属病院長
 永田 勝也  早稲田大学理工学部機械工学科教授
 中野 栄二  千葉工業大学総合研究所教授
 西村 吉雄  早稲田大学客員教授
 水野 博之  大阪電気通信大学副理事長
 安田 浩     東京大学国際・産学共同研究センター教授
 山本 良一  東京大学生産技術研究所教授
 脇  英世  東京電機大学工学部情報通信工学科教授

 ※受賞者および審査委員の所属・肩書きは選考時点のものです

日経BP社経営企画室・広報

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