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2008年10月29日

第7回 日本イノベーター大賞、受賞者決まる

大賞には移民向けマイクロファイナンスの枋迫篤昌氏
優秀賞はマラリア感染を防ぐ蚊帳を開発した伊藤高明氏と電子機器の小型化を微小バネで支える黒田義光氏

 日経BP社は2008年「第7回日本イノベーター大賞」の受賞者を決定しました。

 日本イノベーター大賞は、日本の産業界で活躍する独創的な人材にスポットを当てることにより、日本に活力を与えようと2002年に日経BP社が創設した賞で、今年が7回目となります。

 地球温暖化問題を含め、環境、エネルギー問題は待ったなしの解決を求められています。こうした中、人口減少、少子高齢に直面する日本が今後も力強く、持続的成長を実現していくためには、将来を支える新技術や新しいビジネスモデルの誕生が期待されています。春以降、世界に通じる新しい価値を創り上げたことによって、今の日本に活気をもたらした人を幅広い分野の中からノミネートし、選考を進めてきました。

 先日、最終選考委員会を開き、次の方々に賞を差し上げることに決定しました。

 なお、表彰式は11月27日(木)午後5時から、グランドプリンスホテル高輪(東京都港区)行います。

【受賞者】

大賞 枋迫 篤昌氏    米マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション社長兼
CEO(最高経営責任者)
優秀賞    伊藤 高明氏 住友化学農業化学部門主幹
優秀賞 黒田 義光氏 ファインパーツ社長

【選考理由】

 日経BP社の日本イノベーター大賞は、独創的なアイデアや技術で新市場の開拓に挑む日本人を表彰するものです。今回も従来通り、「日本経済に新たな活力をもたらそうという気概、勇気に富み、新たな市場、ビジネスモデルの創出に貢献した人」という観点から選考を進めました。受賞者に対する評価は、以下の通りです。

   大賞の枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)氏は、北米で働く中南米系移民を対象に、新たな送金サービスやマイクロファイナンス(少額融資)などの金融サービスを展開、米国で貧困問題の解決に取り組んでいます。北米には5000万人以上の中南米系出稼ぎ移民がおり、中南米への送金額は年間660億ドルに達すると言われます。しかし、金融機関の多くはこの分野には本格的に参入しておらず、送金のほとんどは送金専門業者が対応していました。送金専門業者の手数料は10%を超えるケースも珍しくなく、その分、母国に住む家族の取り分は少なくなります。この状況を改善するために枋迫氏は米国で2003年、マイクロファイナンス・コーポレーション(ワシントン)を立ち上げ、インターネットを使った送金・決済システムを開発、手数料を約3.5%に抑えることで、移民の利用者を増やしてきました。

 また、送金業務の過程で生じる滞留資金を、発展途上国の産業振興を目的に、現地の金融機関に貸し出すことで、途上国における事業育成や起業を後押ししています。このように途上国の消費拡大と事業育成を両立させ、経済発展を促すビジネスモデルを構築しています。全世界で移民による送金額は3000億ドルを超えると推計されており、アフリカやアジアへの展開も進めています。貧困に苦しむ移民を支援するという社会貢献の側面と、これまでのシステムとは異なる観点で金融ビジネスの在り方に新たな可能性を示した点が高く評価されました。

 優秀賞の伊藤高明氏は、マラリア感染を予防する蚊帳「オリセットネット」の開発者です。マラリアには世界で毎年3億〜5億人が罹患し、毎年100万人以上が亡くなります。その9割はアフリカで、大半が5歳以下の子供と言われます。伊藤氏はマラリアを媒介するハマダラカを殺傷する薬剤を糸に練り込んでおき、その薬剤が徐々に拡散する技術を確立しました。また、現地メーカーと組んで蚊帳の製造工場を建設、現地生産を進めることで雇用の創出にも貢献しました。日本の海外援助が金銭的支援に偏りがちな中、マラリア予防に加えて、雇用創出にまで結びつけた点が高く評価されました。住友化学では、オリセットネット事業を全社的な事業として位置づけ、現地企業との合弁による生産能力を現在の年間3000万張りから、5000万張りに増やす準備を進めています。アフリカで「死の病」と言われるマラリア予防策として、国連や世界保健機関(WHO)などもオリセットネットの使用を推奨、2005年にスイス・ダボス会議で米女優のシャロン・ストーン氏がオリセットネットに言及し寄付を呼びかけたところ、10分で100万ドルを集め話題を集めたことでも知られます。

 もう一人の優秀賞は、極めて小さいバネの開発、製造を手がけるファインパーツ(横浜市)の社長、黒田義光氏です。例えば、今や先進国でも新興国でも普及した携帯電話。充電池と携帯電話本体を接続する部分には外径が1ミリの微小バネが使われており、この用途では「9割近い世界シェアを誇っている」と黒田氏は言います。同社が生産する最小のバネは、半導体部品の通電検査に使う探針からボールペンのペン先など幅広く、通電検査用の探針に使うバネは、実に女性の髪の毛よりも細い外径65マイクロメートル(マイクロは100 万分の1)。こうした微小バネは、最新のデジタル機器には欠かせない部品です。もともと自動車販売員だった黒田氏が、営業先との会話から微小バネの将来性に気づき、企業。その先見性と、社員数32人の小さな会社ながら、微小なバネを実現する技術開発力が、日本の中小企業のモノづくりパワーを示す事例として評価を集めました。

【選考委員長】

小宮山 宏 東京大学学長

【選考委員(五十音順)】

坂村 健 東京大学教授
丹羽 宇一郎 伊藤忠商事会長
松永 真理 バンダイ取締役
宮内 義彦 オリックス会長
米倉 誠一郎 一橋大学教授


日経BP社 コーポレート管理室・広報

【本リリースに関するお問い合わせ先】

 日本イノベーター大賞に関するお問い合わせは、日経ビジネス編集:戸田、石黒 電話 03-6811-8101にお願いいたします。