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2009年4月17日

日経BPコンサルティング「ブランド・ジャパン2009」
BtoC編で任天堂が2年連続首位、グーグル、ユニクロ、サントリーも上位へ
BtoB編の1位はトヨタ自動車、2位にパナソニック

 日経BPコンサルティングは、今年で9年目を迎える日本最大規模のブランド評価調査プロジェクト「ブランド・ジャパン2009」の結果をまとめ、本日(2009年4月17日)調査結果報告書を発行・発売すると同時に、東京カンファレンスセンター・品川で「ブランド・ジャパンプロジェクト9周年記念セミナー」を開催し、その結果概要を発表する。一般消費者とビジネスパーソンへのアンケート調査から延べ1500ブランドを並列に評価した。

 調査は、2008年11月に実施し、回答者は約5万4000人となった。

BtoC編:
「イノベーティブ(革新性)」因子の押し上げとサブブランドへの評価で任天堂が首位

 BtoC編のブランド総合力は、90.0ポイントを獲得した任天堂が、2年連続で首位となった(表1)。ただし、第2位のグーグル、第3位のソニー、第4位のスタジオジブリの3ブランドが、88ポイント台で迫っており、今回は僅差での1位となった。任天堂は、BtoB編でも高ポイントを獲得し、ブランド総合力で第5位となった。BtoC編で任天堂のブランド総合力を押し上げたのは、「アウトスタンディング(卓越性)」と「イノベーティブ(革新性)」の力によるところが大きい。また、サブブランドの代表商品である「NINTENDO DS」と「Wii」は、イノベーティブ・ランキングでそれぞれ第2位、第5位となった。「この商品を出しているこの企業に愛着が湧く、信頼できる、他の商品も試してみたい」といった具合に、企業ブランドと商品ブランドが相互にプラスに作用して、ポジティブ・イメージを醸成している。

 BtoC編のブランド総合力ランキングで、前回の10位以下から、今回トップ10に入った企業ブランドは、グーグル、パナソニック、ユニクロ、サントリーである。

 グーグルは、前回の11位から順位を上げ、今回第2位となった。4因子いずれもポイントを伸ばし、イノベーティブ・ランキングでは2つの任天堂ブランドに続き、第3位となった。フレンドリーのポイントは10ポイント上昇した。ストリート・ビューなどの新機能を続々リリースし、革新的なイメージを持たせつつ、親しみや共感などブランドの持つエモーショナルな部分にも突き刺さるグーグルの戦略は非常に興味深い。

 パナソニックは、ブランド総合力第5位にランクインした。イノベーティブに関するイメージ項目も大きくポイントを伸ばし、イノベーティブ・ランキングで第6位と大幅に順位を上げた。同社は、2008年10月に社名変更したが、継続した強力なプロモーションで認知度低下を防いだこと、また新社名が既存ブランド名からの「昇格」という形だったことなどが奏功し、「ブランド・イメージの引越」は無事完了したといえる。さらに社名変更の意図が消費者に理解されたところも垣間見られ、結果的にブランド総合力をさらに上昇させることに成功した。

 ユニクロは、2007年の第52位から、2008年に第12位となり、今回第7位とトップ10入りした。同社は、2005年から今日に至るまでに、米国、韓国、香港、中国、ヨーロッパと続々と海外に進出し、その知名度を上げ、またマーケティングでは、東レや大和ハウスとの間に、戦略的パートナーシップを構築し、経営の効率化を図っている。商品では、2007年に登場したヒートテックインナーが爆発的な人気となった。コミュニケーションでもグローバルでのブランド認知度向上プロモーション「UNIQLOCK」が、カンヌ国際広告賞をはじめとする世界三大広告賞を受賞した。こうした勢いに呼応して、複数のイメージ項目のポイントが上昇(図1)。イノベーティブ上昇ランキング(前回との差)でも第3位となった。ユニクロのグローバル展開、マーケティング、デザインなどの戦略が現在はがっちりとかみ合っている様相だ。

 サントリーも、この数年好成績を維持しており、ブランド総合力は、今回第9位となった(図2)。食品・飲料業界のトップ企業にふさわしくフレンドリー・ランキングでは第3位、コンビニエント・ランキングでも第28位と好調だが、併せて、ブランドを次のステップでさらに躍動させるための原動力となるアウトスタンディングとイノベーティブのポイントも高い。また、強力な商品ブランドの「ザ・プレミアム・モルツ」は年々順位を上げ、今回1000ブランド中第121位となった。その名の通り「ステータスが高い」、「他にはない魅力がある」などのポイントも高い。

 さて、今回の調査は、前述の通り「100年に1度」とも言われる大きな不況の波が押し寄せている時に実施された。とりわけ国内の電機、自動車業界は、需要減と円高の影響で、不況のあおりをまともに受けている。トヨタ自動車は、調査期間中、大幅減益や期間従業員減らしなどのニュースが大きく取りざたされたこともあり、イノベーティブのポイントが大きく下降した。そのためブランド総合力も前回の第7位から第29位まで順位を下げ、調査開始以来、初めてトップ10から転落した。しかしソニーは、円高やデジタル家電の価格下落の影響で、通期の連結業績予想を下方修正するニュースが調査開始直前の2008年10月に発表されたにもかかわらず、ブランド総合力は第3位と、安定して上位にとどまっている。むしろソニーのイノベーティブのポイントは上昇しており、ソニーブランドのロイヤルティの高さが浮き彫りになった。ニュースのインパクトに差はあるが、同じ不況下でのブランド力推移に明暗が分かれた。

BtoB編:
トヨタ自動車の首位変わらず、パナソニックが2位に上昇

 BtoB編では、前回よりもポイントは落ちたものの、トヨタ自動車が今回もトップを走り、「総合力」を構成する5つの因子のうち、「先見力」「人材力」「信用力」の3因子のランキングで首位となった。これをパナソニック、本田技研工業が追う形になっている。さらに今回は、これにソニーと任天堂が続く。パナソニックは、BtoC編と同様に、高ポイントをマークした。「先見力」「人材力」「信用力」の3因子のランキングでどれも第2位を獲得し、「親和力」ランキングでも第3位である。

 今回の結果から、「イノベーティブ」「グローバル」「サブブランドの活用」といった観点が、ブランド構築上のキーワードになっていることを再認識できる。今回ブランド力を上昇させたブランドのほとんどが、イノベーティブのポイントを伸ばし、消費者に前進的、革新的なイメージを与えている。海外進出という手段も立ち止まらない企業像を印象として与え、企業価値を増幅させるきっかけとなっている。また、企業理念を一番わかりやすい形で具現化できる商品・サービスの存在は、企業ブランド力をさらに大きく成長させていることがわかる。これまでのブランド論で中心的に議論されてきたこのようなキーワードが、非常に重要な視点であることを実証的に確認できたのではないだろうか。

(吉田健一=日経BPコンサルティング ブランド・ジャパン プロジェクト・リーダー)

図1

図2

表1

注) BtoC編では企業ブランドと製品/サービスブランド合わせて1000ブランドを対象に調査した。「フレンドリー」、「コンビニエント」、「アウトスタンディング」、「イノベーティブ」という4指標から総合力を算出。BtoB編では500の企業ブランドを対象に調査した。「先見力」、「人材力」、「信用力」、「親和力」、「活力」、「その他イメージ」から総合力を算出。

■調査の構成と概要

●調査の方針と構成

 ブランド・ジャパン2009では、経年比較を可能にして、継続的データ価値を保つために、毎年同じフレームを採用している。すなわち、本調査は、「コンシューマー市場(BtoC)編」と、「ビジネス市場(BtoB)編」の2つの調査で構成する。またランキングを計算する質問項目も、個々のブランドについて尋ねる主要な設問は例年と同じものを用い、さらに総合力を算出する際の基本的な計算方法も、例年と同様の手順で行っている。なお、有意抽出であるインターネット調査の結果を補正するために、傾向スコア重み付け法を施した。

コンシューマー市場(BtoC)編

消費者に対して、消費行動上のブランドのポジショニングを明らかにする設問への回答を求めた。調査対象ブランドは、企業ブランド(企業名・グループ名)と製品・サービスブランド、合計1000ブランド。

ビジネス市場(BtoB)編

有職者に対して、ビジネスパーソンとしての立場からブランドのポジショニングを明らかにする設問への回答を求めた。調査対象ブランドは企業ブランドのみ500ブランド。

●調査概要

調査名称

ブランド・ジャパン2009

調査目的

日本の市場で使用されている主要なブランドについて、ブランド力とそれぞれの特徴を明らかにする。このデータを企業のブランディング活動で活用できる形で提供する一方、市場内外のどのような事柄がブランド力に影響を与えているかなどの基礎研究に資する。

調査機関

日経BPコンサルティング ブランド・センター

調査方法
表2

(※1) 1人の対象者が回答するブランドは、1つの組にあるブランドの数だけ。

■特別顧問及びブランド・ジャパン企画委員会

●ブランド・ジャパン特別顧問

カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院名誉教授
プロフェット社副会長
デービッド・A・アーカー氏
ブランド論の第一人者として知られ、「ブランド・エクイティ戦略」「ブランド・ポートフォリオ戦略」(日本語版はダイヤモンド社刊)などの著書や論文を多数送り出している。ブランド・ジャパンには、第1回から特別顧問として参加。電通顧問。

●ブランド・ジャパン企画委員会

【企画委員長】

丸の内ブランドフォーラム代表 
片平秀貴氏
2004年3月まで東京大学大学院経済学研究科教授。その他、米国ペンシルバニア大学ウォートン・スクール客員教授、カリフォルニア大学バークレー校客員教授、ストックホルム・スクール・オブ・エコノミクス客員教授等を務める。主な著書に「新版パワー・ブランドの本質」(ダイヤモンド社)、「超顧客主義:顧客を越える経営者に学ぶ」(東洋経済新報社:共著)などがある。

【企画委員】

早稲田大学 文学部教授 豊田秀樹氏
心理統計学、教育測定学、マーケティング・サイエンス、統計学のエキスパートとして「ブランド・ジャパン 2002」から結果分析を担当。著書に「SASによる共分散構造分析」(東京大学出版会)、「データマイニング入門」(東京図書)、「項目反応理論」(朝倉書店)などがある。

慶應義塾大学 総合政策学部教授 桑原武夫氏
コロンビア大学ビジネススクール客員研究員を務める。ポストモダンマーケティングの旗手モリス・B・ホルブルック教授と共同研究を行う。 著書に「ポストモダン手法による消費者心理の解読」(日本経済新聞社:共著)などがある。

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科准教授 阿久津聡氏
カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院にて博士号(Ph.D)を取得。消費者心理学をベースにしたブランド理論の構築と実践を行っている。最近の著書に「ブランド戦略シナリオ」(ダイヤモンド社:共著)などがある。

立命館大学 経営学部教授 西川英彦氏
神戸大学大学院博士号(商学)。マーケティングを専門とし、新製品開発、ビジネス・システムからインターネット・マーケティングをテーマに研究を行なっている。著書に「ビジネス三國志」(プレジデント社:共著)、「仮想経験のデザイン」(有斐閣:共著)などがある。

■ブランド・ジャパンについて

国内で使用されているブランドを消費者とビジネスパーソンが評価する、日本最大規模のブランド評価プロジェクト。2001年に第1回調査を実施し、今回が9回目。調査は、消費者としての立場から回答を求める「コンシューマー市場(BtoC)編」(調査対象ブランド1000件)と、ビジネスパーソンとしての立場から回答を求める「ビジネス市場(BtoB)編」(同500件)とから成る。調査概要は、「調査手法」と「企画委員会のご紹介」を参照。

■日経BPコンサルティングについて

日経BP社の研究・調査部門を分社独立した、日経BP社全額出資の「技術と経営に関するコンサルティング・調査会社」。2002年3月1日設立。資本金9000万円(日経BP社100%出資)。技術と経営に関する調査、研究、コンサルティング、関連する情報・刊行物の出版と関連商品の販売を行っている。 

【お問い合わせ先】

■このリリースに関するお問い合わせ先
日経BPコンサルティング ブランド・センター アナリスト 吉田健一(consult@nikkeibp.co.jp)
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