ニュースリリース

2012年1月30日

日経ものづくり調査「数字で見る現場」
「ものづくりのノウハウが失われつつある」
技術者の95%以上が危機感持つ

 日経BP社(本社:東京、社長:長田公平)は2012年1月30日、「ノウハウの継承」に関して、主に製造業のエンジニア(技術者)を対象に調査し、その結果を発表しました。「所属する企業や部署でものづくりのノウハウが失われつつあるか」を聞いたところ、「大いに感じる」と「少し感じる」の合計が95.6%と、非常に大きい数字になりました。

 日経BP社の製造業向け雑誌『日経ものづくり』は、「ノウハウの継承」について調べるため、エンジニアを主として対象にした調査を2011年12月26日〜2012年1月11日に実施しました。回答者が属する主な業種は自動車等輸送用機器メーカー、産業用機器メーカー、機械部品・電子部品メーカーなどです。その結果、下記の状況や認識が明らかになりました。

  • 「所属する企業や部署でものづくりのノウハウが失われつつあるか」を聞いたところ、「大いに感じる」が61.3%、「少し感じる」が34.3%であり、合計は95.6%だった。2008年3〜4月に同じテーマで実施した調査結果(「大いに感じる」「少し感じる」の合計が93.1%)に比べて増加した上に、合計の内訳は「大いに感じる」が増加した(図1)
  • ノウハウが失われていく理由としては、「開発期間や納期が短く、ゆとりがなくなったため」(46.8%)が最も多かった。これは、2008年の調査結果と同じだが、回答率は10 ポイント近く減っている。「正社員が減少したため」「人材の流動性が高まったため」といった選択肢も10ポイント前後回答を減らした。逆に「3次元モデルなどコンピュータ上での検証が広がったため」(9.2ポイント上昇)や「部品やユニットの標準化/ モジュール化が進んだため」(同7.9)などの回答が増えた(図2)
  • 開発や生産の拠点がグローバル化することに伴って「海外拠点にノウハウが蓄積されることについて、 どのように考えるか」と聞いたところ、「日本の拠点からノウハウが失われるのは危険である」(38.3%)とする回答が最も多かった。ただし、「海外拠点であっても、同じ会社内にノウハウが残るのであれば、あまり問題ない」(16.7%)、「海外拠点であっても、ノウハウが必要な拠点にどんどんノウハウを移すべき」(12.1%)という海外拠点をノウハウ継承に含めて考える回答も見られた(図3)
  • グローバル展開が進展する中でのノウハウ共有の実現性に関して「拠点(場所や人)に依存することなくノウハウを共有できるようになると思うか」と質問したところ、「容易に実現できると思う」(3.3%)と「なんとか実現できると思う」(36.3%)を合計した肯定的な回答は39.6%と4割に満たなかった。しかし、「絶対に不可能だと思う」(3.0%)と「たぶん不可能だと思う」(21.7%)を合わせた否定的な意見も24.7%にとどまり、「どちらともいえない」が33.2%と多い。拠点に依存しないノウハウの共有について必要性を感じるが実現性に確信が持てない、という技術者の心理を表したものと考えられる(図4)

図1 ものづくりのノウハウが失われつつあると感じているか(単一回答)

図1 ものづくりのノウハウが失われつつあると感じているか(単一回答)

図2 ノウハウ消失には、どのような状況の変化が影響していると思うか(複数回答)

ノウハウ消失には、どのような状況の変化が影響していると思うか(複数回答)

図3 海外拠点にノウハウが蓄積されることについて、どのように考えるか(単一回答)

図3 海外拠点にノウハウが蓄積されることについて、どのように考えるか(単一回答)

図4 拠点(場所や人)に依存することなくノウハウを共有できるようになると思うか(単一回答)

拠点(場所や人)に依存することなくノウハウを共有できるようになると思うか(単一回答)

 本調査は、製造業の実態を経営者の目線だけではなく、現場の目線からも明らかにしようという狙いで実施しているものです。「製造現場における派遣の実態」「製造業におけるノウハウの伝承」「トヨタ自動車の品質問題が示唆する日本製造業の課題」「円高が生産や調達に及ぼす影響」「グローバル化の障壁」「震災の影響と復興への動き」「日本の生産技術」「環太平洋経済連携協定(TPP)の影響」など、これまでに約80のテーマについて調査し、現場の危機感や認識を定量化してきました。今回はメールによるニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の登録者を対象に、アンケート用URLを告知する方法によってWebサイト上でアンケートを実施、705の回答を得ました。調査結果の詳細は、日経ものづくり2月号(2月1日発行)に掲載する予定です。次回のテーマは「戦略的な特許の出願」の予定です。

日経BP社について

 日経BP社は、技術と経営と生活の先端情報を多様なメディアを駆使して提供する出版社(コンテンツ・プロバイダー)です。経済を中心とする情報を国内外に発信する日本経済新聞グループの一員として1969年4月に設立されました。日経BP社と日経BPグループが展開している事業は、雑誌、書籍・ムックなどの出版をはじめ、インターネット、展示会、調査・コンサルティング、教育・セミナーなど多岐にわたっています。

日経ものづくりについて

 「日経ものづくり」は、日本の競争力の源泉であるものづくり力を強化するために、製造業が抱える課題の解決と技術革新に関する情報を総合的に提供する情報誌です。入念な取材をもとに、詳細なデー タを加え独自の視点から執筆した記事を掲載しています。対象とする技術は幅広く、機械や電子、ソフトウエアにも及びます。また工作機械、製造のためのITツールなど現場で利用する技術・製品の動向もウオッチします。

【お問い合わせ先】

 このアンケートに関するお問い合わせは、日経BP社 日経ものづくり編集部 電話03-6811-8131にお願いいたします。
 取材のお申し込みは、日経BP社 コーポレート管理室・広報 電話03-6811-8556にお願いいたします。

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