ニュースリリース

2013年1月29日

日経ものづくり調査「数字で見る現場」
94.7%が日本の製造業復権に「ヒット商品が必要」

 日経BP社(本社:東京、社長:長田公平)は2013年1月29日、「ヒット商品の製品企画」に関して、主に製造業のエンジニア(技術者)を対象に調査を実施し、その結果を発表しました。日本の製造業の復権にとってヒット商品は必要か否かを尋ねたところ、回答者の実に94.7%が「必要」と回答しました。今後、ヒット商品が生まれそうな分野については、「環境・省エネ(低燃費)」(45.0%)、「健康・医療・福祉」(29.9%)、「エネルギ・電池」(28.6%)など、現在日本が課題を抱えるている分野が上位に来ました。

 日経BP社の製造業向け雑誌『日経ものづくり』は、「ヒット商品の製品企画」について調べるため、エンジニアを主として対象にした調査を2012年12月26日〜2013年1月8日に実施しました。回答者が属する主な業種は自動車等輸送用機器メーカー、産業用機器メーカー、機械部品・電子部品メーカー、総合電機・家電メーカー、精密・事務用機器メーカーなどです。その結果、下記の状況や認識が明らかになりました。

  • 「日本の製造業の復権にとって、ヒット商品は必要だと思うか」と聞いたところ、「必要」と思うは94.7%に達した(図1)。新興国メーカーの勢いに押されている今の日本メーカーに、ヒット商品を期待する声は大きい。
  • 「(あなたが)所属する会社では、リーマン・ショック後にヒット商品を生み出しているか」と尋ねると、「生み出している」(26.2%)より「生み出していない」(62.2%)会社の方が2倍強も多かった(図2)。ヒット商品の重要性を感じながらも実現できていない現状が浮き彫りになった。
  • 「今後、ヒット商品につながりそうな商品企画のキーワード」を聞いてみると、「環境・省エネ(低燃費)」が45.0%でトップ。「低価格(リーズナブル)」が31.5%、「健康・医療・福祉」が29.9%、「エネルギ・電池」が28.6%と続いた(図3)。環境・省エネ、健康・医療・福祉、エネルギ・電池など日本が現在課題を抱えている分野にヒットの種が隠れている。
  • 「ヒット商品を生み出す確率を高めると思う施策はどれか」との問いに対しては、「独自技術の開発」(51.5%)が半数を超え、次は「経営者の理解・判断力の強化」(41.3%)だった(図4)。従来にない独自技術を生み出せれば「市場開拓型の製品の開発」(33.9%)にもつながる一方で、それには人手も資金もかかる。それ故、経営者の理解や適切な判断が必要になるのである。

図1 日本の製造業の復権にとって、ヒット商品は必要だと思うか(単一回答)

ヒット商品を「必要」と回答した人が約95%と圧倒的に多い。金融緩和を主張する安倍晋三新首相が掲げる「アベノミクス」により、足下では一時の超円高が和らぎ、株価も上昇に転じるなど景気回復のムードが出てきた。だが、新興国メーカーの勢いに押されている今の日本メーカーは、復権のために、もはやヒット商品の誕生を期待せざるを得ないのだろう。普通の売れ行きの製品をコツコツと積み上げていく方法では間に合わないという状況になっているのかもしれない。なお、本調査では、ヒット商品の定義を「当初見込みを超える売り上げを実現した商品」とした。

図2 所属する会社は、リーマン・ショック後にヒット商品を生み出しているか(単一回答)

2008年9月のリーマン・ショックは、特に先進国の不況を長引かせる原因となり、日本メーカーの多くにも深刻な打撃を与えた。欧州市場はいまだにその影響を受けて低迷している。ここで受けたマイナスの影響をヒット商品で打開したいというのは、どの日本メーカーも望むことだろう。だが、6割を超える人が、リーマン・ショック後にヒット商品を「生み出していない」(62.2%)と回答した。やはり、ヒット商品の開発は容易なことではない。それでも、「生み出している」という回答が26.2%もある。

図3 今後、ヒット商品につながりそうな製品企画のキーワードは何か(複数回答)

明日のヒット商品につなげるために、どのような分野や領域、技術などが有望かをキーワードで探った。最も多い回答は「環境・省エネ(低燃費)」で45.0%。環境分野の開発は時代の要請ともいえるため、チャンスも大きいということだろう。次に多い回答は「低価格(リーズナブル)」で31.5%だった。ヒット商品を生み出せていない理由を聞くと、価格競争力の低下を上げる声が多かったことからも、低価格化でヒット商品を狙えると考える人が相当の割合でいることが分かる。他に分野として目立ったのは、「健康・医療・福祉」(29.9%)や「エネルギ・電池」(28.6%)、「シニア」(23.9%)だ。これらは、今の日本が抱えている課題と一致している。

図4 ヒット商品を生み出す確率を高めると思う施策はどれか(複数回答)

何といっても「独自技術の開発」(51. 5%)が必要だ。従来にない技術を生み出せれば「市場開拓型の製品の開発」(33.9%)を実現できるかもしれない。しかし、独自技術の開発は容易ではなく、人手も資金も時間もかかる。革新的なものであるほど、「常識」の壁も突破しなければならない。そうした事情を認めてもらうために、「経営者の理解・判断力の強化」(41.3%)が必要ということだろう。消費者が望むものを突き詰めるためには、「市場調査・ユーザーニーズの分析の強化」(39.7%)も大切になる。だが、「より一層の高機能化」(9.6%)や「多機能化(付加機能の追加)」(7.4%)は効果があまりない─。回答結果から、このように考えている回答者の姿が浮かび上がってくる。これらの結果を参考に、ぜひ、ヒット商品づくりに挑んでいただきたい。

 本調査は、製造業の実態を経営者の目線だけではなく、現場の目線からも明らかにしようという狙いで実施しているものです。「トヨタ自動車の品質問題が示唆する日本製造業の課題」「円高が生産や調達に及ぼす影響」「震災の影響と復興への動き」「日本の生産技術」「環太平洋経済連携協定(TPP)の影響」「技術情報の流出」「図面の品質」など、これまでに約80のテーマについて調査し、現場の危機感や認識を定量化してきました。今回はニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の登録者を対象に、アンケート用URLを告知する方法によってWebサイト上でアンケートを実施、489の回答を得ました。調査結果の詳細は、日経ものづくり2月号(2月1日発行)に掲載する予定です。次回の調査テーマは「製品不具合の原因究明の仕方について」の予定です。

日経ものづくりについて

 「日経ものづくり」は、日本の競争力の源泉であるものづくり力を強化するために、製造業が抱える課題の解決と技術革新に関する情報を総合的に提供する情報誌です。入念な取材を基に、詳細なデータを加え独自の視点から執筆した記事を掲載しています。対象とする技術は幅広く、機械や電子、ソフトウエアにも及びます。また工作機械、製造のためのITツールなど現場で利用する技術・製品の動向もウオッチします。

お問い合わせ先

 このアンケートに関するお問い合わせは、日経BP社Webサイトの問い合わせフォームにお願いいたします。
 取材のお申し込みは、日経BP社 コーポレート管理室・広報 電話03-6811-8556にお願いいたします。

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