ニュースリリース

2013年4月26日

日経ものづくり調査「数字で見る現場」
65歳までの雇用延長で
7割超が高年齢技術者を「積極活用すべき」

 日経BP社(本社:東京、社長:長田公平)は2013年4月26日、今後の「高年齢技術者の活用」について、主に製造業のエンジニア(技術者)を対象に調査を実施し、その結果を発表しました。2013年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、一定の経過措置を踏んだ後、全ての企業が希望する従業員に対して65歳まで雇用することになります。これを受けて、日本の製造業は高年齢技術者を積極的に活用していくべきかを尋ねたところ、7割を超す回答者が「積極的に活用すべき」と答えました。その最大の理由は、「高年齢技術者の経験や知識、ノウハウを生かせるから」でした。

 日経BP社の製造業向け雑誌『日経ものづくり』は、「高年齢技術者の活用」について調べるため、エンジニアを主として対象にした調査を2013年3月29日〜4月4日にかけて実施しました。回答者が属する主な業種は自動車等輸送用機器メーカー、産業用機器メーカー、機械部品・電子部品メーカー、総合電機・家電メーカー、精密・事務用機器メーカーなどです。その結果、下記の状況や認識が明らかになりました。

  • 「日本の製造業は、高年齢技術者を積極的に活用すべきか」を聞いたところ、「そう思う」が71.8%と多く、「そうは思わない」はわずか5.0%だった。ただし、これを年齢別に見ると、世代によって見方が異なる。例えば、当事者を含む「60歳以上、69歳以下」の世代は、「そう思う」が80.3%と圧倒的に多かったが、若い「30歳以上、39歳以下」の世代では45.5%に過ぎなかった(図1)。世代間による、高年齢技術者の「価値」に対する認識の違いが現れた格好だ。
  • 「定年後の高年齢技術者を雇用することは、製造業の競争力を高めることにつながるか」と尋ねると、ほぼ半数に当たる49.1%が「つながる」と回答。「つながらない」は10.5%にとどまった(図2)。先の質問で「積極的に活用すべき(そう思う)」とした回答者の割合と比べると、「(競争力を高めることに)つながる」と答えた人の割合は少ない。この背景には、高年齢技術者の活用によって有望な若手技術者の活躍の場が狭まる、といった今回の制度の弊害を危惧する見方がある。
  • 「製造業の競争力を高めることに『つながる』理由は何か」を聞いてみると、「高年齢技術者の経験や知識、ノウハウを生かせるから」が92.9%と圧倒的に多く、次に「若手技術者の成長に貢献するから」が63.2%で続いた(図3)。つまり、製造業の競争力を高めるには、高年齢技術者であっても、ものづくりの第一線で活用し続けることが肝要だ。

図1 日本の製造業は、高年齢技術者を積極的に活用すべきか(単一回答)

全体(左の円グラフ)では「そう思う」(71.8%)が「そうは思わない」(5.0%)を大きく上回るが、そのレベルは回答者の年齢によって異なる(下の棒グラフ)。年齢が高いほど、高年齢技術者を積極的に活用すべきかについて「そう思う」という回答が多くなる。「30歳以上、39歳以下」では45.5%に過ぎないが、「50歳以上、59歳以下」でほぼ全体と同じ71.7%、「70歳以上」では84.0%に至る。逆に、年齢が低いほど「分からない」という回答は増えている。こうした年代による回答の差は、高年齢技術者の価値に対する認識の差の表れかもしれない。
平均寿命が高くなる中、元気に仕事をこなせる高年齢技術者も少なくない。少子化も進んだ現代の日本では、人的リソースを確保する面でも、その力を活用することは不可欠なはずだ。高年齢技術者の力を客観的に見極め、積極的に活用していくことが求められる。

図2 定年後の高年齢技術者を雇用することは、製造業の競争力を高めることにつながるか(単一回答)

高年齢技術者を活用することは、製造業の競争力を高めることにつながるのだろうか。この問いに対しては、半数近い49.1%が「つながる」と回答したが、図1で「そう思う」とした79.1%よりも少ない。この結果は、活用すべきだと考えた理由が、競争力を高めること以外にあると考える回答者が相当数いることを示す。単に、年金受給開始年齢の引き上げに伴って高年齢技術者に就業機会を提供するべきと考えた回答者もいるだろう。一方で高年齢技術者を戦力としてみなしていなかったり、高年齢技術者の雇用によって有望な若手技術者の活躍の場が狭まるといった弊害を心配したりする技術者も少なくないと見られる。

図3 製造業の競争力を高めることに「つながる」理由は何か(複数回答)

図2で「つながる」を選択した回答者に、その理由を聞いた。「高年齢技術者の経験や知識、ノウハウを生かせるから」(92.9%)や「若手技術者の成長に貢献するから」(63.2%)のように、高年齢技術者が持つ技術力を活用する取り組みが競争力強化につながる、といえそうだ。一方で、「人件費を抑制できるから」(18.0%)や「海外メーカーへの技術流出を防げるから」(35.7%)のような、技術者一人ひとりよりも組織の目先の都合にとらわれたような理由は少ない。消極的で受け身な考え方は、競争力強化につながりにくい。

 本調査は、製造業の実態を経営者の目線だけではなく、現場の目線からも明らかにしようという狙いで実施しているものです。直近では「ヒット商品の製品企画」「複数の企業が関わる製品不具合の原因調査」「『強い工場』の条件」などについて調査し、現場の危機感や認識を定量化してきました。今回はニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の登録者を対象に、アンケート用URLを告知する方法によってWebサイト上でアンケートを実施、542の回答を得ました。調査結果の詳細は、日経ものづくり5月号(5月1日発行)に掲載する予定です。次回の調査テーマは「3Dプリンタの利用実態」の予定です。

日経ものづくりについて

 「日経ものづくり」は、日本の競争力の源泉であるものづくり力を強化するために、製造業が抱える課題の解決と技術革新に関する情報を総合的に提供する情報誌です。入念な取材を基に、詳細なデータを加え独自の視点から執筆した記事を掲載しています。対象とする技術は幅広く、機械や電子、ソフトウエアにも及びます。また工作機械、製造のためのITツールなど現場で利用する技術・製品の動向もウオッチします。

お問い合わせ先

 このアンケートに関するお問い合わせは、日経BP社Webサイトの問い合わせフォームにお願いいたします。
 取材のお申し込みは、日経BP社 コーポレート管理室・広報 電話03-6811-8556にお願いいたします。

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